令和6年度税制改正大綱の影響(診療所編)

先日、令和6年度税制改正大綱が公表されました。

一診療所に影響がありそうな部分をピックアップしました。

令和6年度以降

定額減税

令和6年6月1日以後に支給される給与や賞与から、下記の金額が順次控除となります。

所得1,805万円(給与収入で2,000万円)超の方は対象外です。

 ・所得税:本人3万円+扶養の配偶者及び親族1人ごとに3万円

 ・住民税:本人1万円+扶養の配偶者及び親族1人ごとに1万円

給与所得者の場合、令和6年6月以後の給与計算で、源泉所得税からの控除額を把握していく必要があるので、手間や事務作業は増えることになります。

ただ、転職したり扶養家族が変わったりするケースもあるので、最終的には年末調整で完了される形にはなろうかと思います。

ちなみに特別徴収される住民税は、自治体が計算して明細に反映してくれます。

個人事業の場合の事業主は、所得税は予定納税で調整、住民税も自治体が計算してくれるので、大きな負担増にはなりません。

賃上げ促進税制

中小企業者等で、控除限度超過額がある場合は、5年間の繰越が可能となります。

令和6年4月1日以後開始の事業年度から始まります。

限度額が法人税額の20%のままなので、繰越ができたとしても、翌年度以後に超過分の控除ができるかは、何とも言えません。

交際費

損金不算入とならない交際費の金額が1人5千円以下から1万円以下に変更となります。

令和6年4月1日以後支出の飲食費が対象となります。

元々その年度で交際費が800万円以下であれば、全額損金算入可能です。

一診療所で年間交際費が800万円を超えることはほとんど無いので、改正による影響は少ないと思います。

倒産防止共済

解除してから2年間は、再加入しても経費計上できなくなります。

令和6年10月1日以後の契約解除について適用されます。

倒産防止共済は、そもそも医療法人は加入できませんが、個人診療所やMS法人で加入している場合は注意が必要です。

住宅ローン控除

住宅ローン控除の借入限度額については引き下げられますが、下記に該当する方の限度額が据え置きとなります。

 ・40歳未満で配偶者有り

 ・40歳以上で、配偶者が40歳未満

 ・40歳以上で、19歳未満の扶養親族有り

年齢で区切ることに違和感を覚えますが、該当する世帯は幅広く存在するのかもしれません。

住宅取得等資金の特例

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例が、令和9年末まで3年間延長となります。

省エネ住宅は1,000万円、その他の住宅は500万円です。

令和6年1月1日から贈与税が厳しめに改正されるため、それに伴い住宅取得等の特例は延長されないと思っていたので、意外でした。

しかも3年間。

令和7年度以降

扶養控除の見直し

16歳から18歳までの子がいる世帯で扶養控除が縮小されます。(その代わり児童手当が拡充)

 ・所得税:38万円から25万円へ

 ・住民税:33万円から12万円へ

ひとり親控除の拡充

ひとり親控除が拡充されます。

 ・所得税:35万円から38万円へ

 ・住民税:30万円から33万円へ

合わせて、所得制限が500万円から1,000万円へ拡大されます。

生命保険料控除の見直し

23歳未満の扶養する子がいる場合、2012年以降に契約した一般生命保険の保険料控除額が、4万円から6万円へ拡大されます。

但し、改正がいつからなされるか、記載はありません。

まとめ

今回、実務上、一番影響がありそうなのは定額減税かなと考えられます。

(面倒であり、おそらく現場での混乱は起きるかなと。)

早めに対応できるように、準備しておくことが必要と思います。

error: Content is protected !!