相続税の申告を行う際に、被相続人が土地を保有していて、相続税発生見込の場合、土地の評価を行う必要があります。
被相続人が土地保有者の場合、土地の評価をするにあたり、現地調査を行わなければなりません。
その理由を書きました。
机上調査には限界があるため
土地の評価は、路線価地域所在の場合、基本的に「路線価×評価対象地の㎡数」で求めます。
そのうえで、減価要素を探り、土地の評価を下げることで、相続税納税額も減額することが出来ます。
その減価要素を探るために、土地評価には下記の手順を踏んでいくことになります。
まず、土地に関する資料を相続人様からお預かりして(又は取り寄せて)、土地の形状や周辺の状況を勘案して、減価要素となるべきポイントを挙げていきます。
謄本を見れば、通常は権利関係を把握することができます。
公図や住宅地図では、私道の有無、接道している道路が公道か、高圧線の有無などを確認できます。
但し、盲点もあります。
例えば、謄本上の地目と現況が異なることはザラにあり、実際に現地を見ないと分かりません。
公図や住宅地図でも、実際の接道道路の状況などの把握には限界があります。
ゆえに通常は、事前に入念な机上調査を行い、事前に気になる点をピックアップします。
その上で、メジャーや広角カメラ、三角スケール持参で現地調査を行い、気になる点を徹底的に解消する作業を行います。
そこで机上調査と現地の乖離を見定めることが必要となります。
現地に行って初めて気付かされることがあるため
今の時代はGoogleマップなど、ネット上で便利なコンテンツが無料で使用可能です。
Googleマップでは、ストリートビューや航空写真など、土地の詳細もある程度閲覧することができます。
ケースによっては、それで完結することもあります。(撮影年月には要注意)
ただ、例えば被相続人が保有する土地が広大な場合で、その中に複数の家屋がある場合、ネット上の情報だけでは詳細を把握することは困難です。
ストリートビューで把握できるのは、あくまで周辺道路の状況のみであり、基本的に私有地にまで入ることはできません。
航空写真で内部の確認は一定程度可能ですが、拡大していくと、画像の質も荒くなります。
ゆえに現地へ行かないと、内部の詳細は分かりません。
上記はあくまで一例ですが、やはり現地を見て気付かされることも多いので、面倒臭がらずに現地へ足を運ぶことは大切です。
写真を申告書に添付するため
相続税の申告書には、土地の評価明細を提出しますが、参考資料として土地の現況写真を添付する方が好ましいです。
何でもかんでも添付すればいいという訳ではありませんが、路線価図や住宅地図だけでは評価対象地のイメージは付きづらいものです。
申告書は税務署の担当官に見て貰うものであり、その資料が詳細であるに越したことはありません。
評価を適正に行うのは当然として、その前提でいかに見やすい資料を作成するかも重要な論点です。
それであれば、その土地の現況を表す写真があった方が、調査官にとってもイメージが湧きやすくなります。
適正に申告を行っていることのアピールにも繋がります。
現地調査の際は、その土地の周辺なども含めできるだけ多くの写真を撮ることも大切となります。
まとめ
まず、現地調査は行うべきものという認識を持つことが大切です。
相続税の申告書作成で現地調査を行う税理士は、今でも少数派と言われています。
ただ、現地を確認しないで申告を行う結果、相続税の納税額が大幅に変動するケースもあり得ます。
申告期限まで日が無い場合等やむを得ない事情があるケースを除き、お客様から委任を受けて申告作業を行うのであれば、現地調査は怠るべきではありません。
相続人から土地に関する資料(測量図、公図、謄本など)を預る
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簡易な評価の上、その資料から読み取れる限りで減価要素を探る
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現地へ赴いて現況の確認や写真を撮る
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役所へ行って疑問点解消や資料取得を行う
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最終的な評価額の算出