顧問税理士のお客様との距離感について

医療法人の出口に関するテーマでセミナーを視聴しました。

講師は医療に係る行政書士の第一人者のような方で、医療を専門にしている士業にとって知らない人はいないと思います。

私も一度簡単にお話をさせて頂いたことがありますが、短時間でも人柄の良さが伝わってくる方でした。

実績・実力もさることながら、こういった人柄が人を魅了し、周りに多くの方が集まるのだろうなと勝手ながらに推考します。

この先生のセミナーは頻繁に聞くのですが、自らの豊富な体験談を元にお話頂けるので、お客様との距離が密接であることがよく分かります。

税理士とお客様の距離感は、その税理士の経営方針の方向性により様々です。

税理士とお客様の距離感について考察しました。

顧問税理士とお客様の間柄は濃いほど良い

顧問税理士とお客様の関係は、できるだけ親密であるに越したことは無いと思います。

前職の税理士事務所は医療機関を主に顧問を持っていましたが、担当のお客様への接し方は他の税理士事務所に比べ、かなり緊密なように思います。

基本的に今の自分のスタイルは、このときの経験をもとにしています。

税理士事務所のスタイルは、その事務所によって千差万別であり、何が正しいかなど正解はありません。

ただ、距離感が密接であるためには、できるだけ会う回数を増やすことが必要と思います。

いわゆるザイオンス効果と言われるものですが、普通に考えて重要な相談は、ある程度深い関係性が無い方にはしないものです。

私のお客様との距離の取り方は、過去勤めた事務所のうち、一人の先輩税理士が模範となっています。

私がまだペーペーだった頃、研修や引継ぎで先輩税理士に連れられ、いくつかお客様のもとを訪問していましたが、その先輩は顧問先との距離感がより近いように思いました。

ただ作ってきた月次報告書を、通り一辺倒に報告するのではなく、雑談を交えお客様の心情を捉えながら報告する。

仲が良いと言えば語弊がありますが、共に懇意なのだろうなというのが伝わってきました。

診療に忙殺され時間の限られているドクターにとって、短い時間ながらも有意義な時間を過ごして頂くことは大切なことです。

診療所と税理士という互いの垣根を越えるような関係性を持つことが、顧問先から支持を集める唯一の方術と思います。

この先輩は退職前後に引継ぎ先から食事に誘われたり、ゴルフへ行ったりしていました。

ドクターが、退職する担当者へここまでするのは稀であり、まさに人柄が成せる業かと感じます。

相性は何より大切

この業界では、お客様と税理士の相性は何より大切と思っています。

税理士事務所の職場で、クレームを多く受けるなど社内でもあまり評価の高くない従業員が、他の一定の顧問先では絶大に慕われ評価されていることがあります。

最早、顧問先とその従業員との相性に他なりません。

正直、このような方は社内で勤務しても評価が上がることはありません。

ただ、独立には向いています。

自らにとって相性の良い方だけ顧問に持てばいいだけの話であり、独立すればそういう経営が可能だからです。

一定の顧問先に気に入られるというのは一つの強みであり、社内でも外でも八方美人的に仕事をこなす方よりも、ある意味尖っていて特徴があります。

極端な話ではありますが、お客様と顧問先との相性が重要であることを証明する典型例と思います。

出来るだけ出口を話せる間柄に

前述のセミナー講師は、顧問している40歳前後の経営者にも積極的に出口戦略の話をするようにしているらしいです。

出口戦略というのはデリケートな話題でもあり、なかなか前もって伝えるのを憚るものです。

このベテランの先生にして、手遅れになることも往々にしてあるようです。

私の場合も、出口に纏わる話を露骨に話題に切り出すことはしません。

そこまで卓抜した話術が無いこともありますが、それこそ敏感になるべき話題であり、細心の注意を払うべき事項でもあるからです。

ただ、先生が一定の年齢以上である場合は、自分の中で様々なシミュレーションはするようにしています。

特に経過措置型医療法人であれば、その必要性は格段と上がります。

税理士であれば、税金試算は当然のことですが、先生が医療法人の理事長であれば、来るべき時の内部処理や行政対応なども考えねばなりません。

単に法人税の申告を組むのではなく、出口を考えながらのサポートをすると考えると、医療法人の特性や行政との折衝、相続対策などを網羅的に対応していくことが、税理士には求められます。

まとめ

お客様との距離感が近いほど、逆に期待に応えられなかったときの信頼の失墜は大きいものです。

それを避けるためには、できるだけ研鑽を積んでいってケアしていくしかないと思います。

長きに亘り顧問させて頂くことを考えるのであれば、顧問先の要望を最大限に取り入れつつ、日々の経営のみならず、出口も考えながらの力添えをしていく必要があると思います。

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