税務調査での心証を良くする為に、日頃の経理で心掛けておきたいこと

診療所経営をしていれば、いずれ税務調査はやってきます。

調査の際に、資料が整然と揃っているのと雑然としているのでは、調査官の心証が異なります。

税務署の担当者も一人の人間ですから、きちんと資料が揃っているだけで日頃の経理を丁寧に行っていることを推察するものです。

逆に領収書が揃っていない、金額の根拠となる資料も判然としないでは、特に大きな問題のない案件であっても、中身を疑われて、結果的に調査が長引くのも無理はありません。

診療所で日頃から心掛けておくべきことを幾点かまとめました。

領収書の整理をきちんと行う

普通に考えて、領収書が整理されずバラバラになっていれば心証は悪くなります。

紙の領収書は月別にノートなどに貼り、日頃から整理することが肝要です。

請求書なども、できれば科目別にファイリングして保管する方が好ましいです。

少なくとも捨てたり失くしたりしないようにしましょう。

調査官から取引の内容を問われたら、すぐに帳票を提示できることが求められます。

そこで探すのに手間取って時間を費消すると、調査の時間もどんどん伸びていくことになります。

電子取引も電子帳簿保存法に則して、きちんとPC内にデータを保存することが大切です。

日頃の経理を面倒臭がって怠っていると、後にしっぺ返しを食らうことになります。

窓口負担分は1円単位で口座に入金する

医療機関では、保険収入は自動的に口座に入金されるため、期末で未収をきちんと計上していれば問題になることはほとんどありません。

逆に調査では窓口負担分が重点的に調べられます。

医療機関では窓口集計表を毎日作成していると思いますが、日別のお金を漏れなく口座に入金するようにし、摘要欄にはその窓口入金に係る日付を記載するようにしましょう。

窓口集計表と口座記載額が1円単位できちんと合っていれば、疑われることは基本的にありません。

逆に金額にズレがある場合は、その理由をメモなどできちんと残すことが必要です。

できれば毎月棚卸の確認をする

棚卸資産在庫は、できれば毎月確認したい事項です。

請求書の金額と比較して大幅な在庫となっていないか、期限切れの在庫は無いかなどのチェックにも繋がるためです。

税務調査では棚卸表は必ず確認されます。

棚卸表はあくまで自院が作成するものであり、行為によっては利益操作に繋がります。

この金額の計上が間違っているだけで、即否認事項に該当することになります。

期末の棚卸資産計上で注意すべき点は下記です。

在庫計上に間違いはないか

棚卸資産の過少評価は重加算税の対象となりませんが、敢えて除外した場合は当然のことながら重加算税の対象となります。

そこの線引きは難しいところがありますが、期末に大量の薬品購入をしておきながら、棚卸資産の在庫が少ない場合は、その理由の説明は必要になるでしょう。

例えば内科では通常10月からインフルエンザワクチン接種が始まりますが、9月決算であれば、ワクチン在庫が多額に計上されているはずです。

薬品に係る請求書と突合して、矛盾するような点が無いか、棚卸表作成後に改めて確認する方が良いです。

棚卸表記載の薬品ごとの単価が、請求書記載と異なっていないかも毎年確認するようにしましょう。

税込記載か税抜記載か

意外と失念しがちなのが、表に計上されている金額が税込か税抜かということです。

例えば棚卸表の記載が税込で200万であるか、税抜で200万であるか。

実際は20万もズレがあり、指摘されれば相応の附帯税課税となります。

必ず作成後に確認するようにしましょう。

前期と比較して変動が無いか

期末の売上原価割合が、前期末と比較して大きく変動していないか確認することが大切です。

変動率が高い場合は、診療方法が変わったのか等、その理由を説明できるようにしましょう。

まとめ

税務調査に係る経理で、心掛けるべきことを3点だけまとめて挙げました。

些細なことですが、毎日若しくは毎月行うことで、診療所の透明性も高まります。

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