相続税を心配するなら、まず基礎控除を確認する

昨年は仕事に関する印象として、相続の相談がとても多かったように思います。(私の事務所にしては)

相続税がいくらかかるのかという相談。

実際にはかからないことの方が多いです。

相続税のかかる人は少ない

昨年、実際に申告をご依頼して下さった方、将来の相続に関する相談があった方など思い当たる限りで挙げてみると、

・顧問先のお客様

・顧問先の従業員の方

・顧問先の患者様

・知人の親族

・他士業の方の紹介

・保険会社の方の紹介

などなど。

ここ数年まともに営業などしていない私ですら、多岐に渡ります。

相続税への心配は人それぞれですが、税金がどれほどかかるのかというのが第一のようです。

私も相談を受ける際に、財産を列挙するよう伝えるのですが、実際に相続税がかかるであろう人は少数でした。

全国で相続税が課税されるのは約10%、最多の東京都で16%程度です。

基礎控除を確認する

相続税は財産の純額が基礎控除を超えなければ、原則として申告する必要はありません。

基礎控除は次の算式で計算されます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

仮に父が亡くなり、残された家族が母、自分、弟のケースであれば、残された法定相続人は3人なので、単純計算で

3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除となります。

上のケースで、父の残した財産が4,800万円に明らかに満たない金額であれば、相続税の申告義務は無いことになります。

相続が発生し税務署への申告が気になる方は、まず残された財産がどのくらいあるのか把握するようにしましょう。

例として挙げると

・土地

・建物

・現預金

・有価証券

・投資信託

・生命保険

・車両、貴金属など

相続財産は、亡くなった際に持っていた財産全てです。

具体的には、上記のほか、亡くなったあとに還付される何らかの公金や家庭用財産ですら相続財産に含まれます。

それらを時価などに数値化して、税率を乗じて計算していきます。(実際はもっと複雑な計算をしますが。)

相続税の発生有無にかかわらず、名義変更手続きは必ず行わなければならないことになるので、財産の洗い出し作業はいずれにせよ必要となります。

相続税に関する特例や具体的な評価などは先の話

「親と同居していたので相続税はかからない」

「土地などは具体的に評価すると評価減となり、相続税が安くなる」

 など、その通りの話です。

ただ、まず相続税の試算を簡単にしたいのであれば、財産列挙をして基礎控除を超えるか否かを確認しましょう。

複雑な話はそれ以降に検討すれば充分です。

財産総額が明らかに基礎控除を下回るのであれば、ケースにもよりますが、基本的に考慮する必要もありません。

申告の必要がそもそもないので。

仮に基礎控除を超えそうであれば、専門家への相談へと段階が移ります。

上記の話では、次のように話が進みます。

「親と同居していたので相続税はかからない」

 →小規模宅地等の特例の適用があるが、この特例を受けるには申告が必要。

  特例の適用も、要件を満たしているか否かを厳密に精査しなければならない。

  将来のことを考え、早めに同居することは選択肢の一つ。

「土地などは具体的に評価すると評価減となり、相続税が安くなる」

 →試算段階では、路線価に㎡数を乗じて計算するだけで良い。

  実際の評価は、現地や役所へ行って調査するなど大変な手間がかかるので、具体的な評価は専門家への依頼を考える。

まとめ

相続税の簡易な試算であれば、一定の資料さえ揃えば、そんなに時間もかかりません。

残された財産に何があるかを把握することの方が意外と大変であることもあるので、相続が将来発生する見込みの方は、まず簡単に財産の把握から始めてみましょう。

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